高田義裕の人生論

今日の格言

最大の利得

あなたはあるホテルの一室に案内される。そして中に入ると、シャワールームは綺麗に掃除されており、シャンプーや石鹸も所定の場所にきちんと置いてある。トイレには香水が漂い、バスタオルや歯磨き粉や歯ブラシも洗面台の綺麗にされた鏡の横の戸棚にきちんと整理されている。またあなたはリビングを見ると、ソファーが綺麗に並べられていて、そこからちょうどいい距離で見やすいようにテレビが置いてある。あなたはこれを見て非常に居心地よく感じ、リラックスした気分になった。ところであなたはこのホテルの部屋の中が放っておいても勝手に椅子や机が自動的に動いてきちんとした場所に設置されたものだと思うだろうか。そうは思わないだろう。このホテルの部屋の隅々がきちんと清掃され、整えられているのは、あなたがこのホテルの部屋に来る前に清掃員が汗を流して一生懸命に掃除し、椅子を移動させ、机を並べたに違い無いのである。そう、そこには時間と手間ヒマとお金がかかっているのである。これと同様に、あなたはこの私達の生きる世界が、初めから整えられていて、自分の使い勝手の良い状態に既に整理されていると思っていないだろうか。その証拠に私達はいつもの日常生活で常にイライラし、ストレスを感じ、怒りをぶちまけているのではないだろうか。この精神状態がなぜ生じているのかと言うと、それはこの世界の諸事情がすべて初めから整えられていると思っているからなのである。すなわち、私達は知らず知らずのうちに物事は常にうまくいって当たり前だと思っている証拠なのである。それは先ほどのホテルの部屋が最初から整えられているのは当たり前である、と思っている事と同じである。そうではないのだ。物事がすべて初めから整えられているためには、誰かが、汗を流して一生懸命に清掃し、手間ヒマをかけてお金をかけて、苦しい労働をして働いた結果として物事は初めて整えられ、うまくいくのである。すなわち私達のストレスの原因、苦しいと感じる心の原因は世の中とはうまくいかなくて当たり前なのに、勝手に自分でうまくいって当然だという前提で物事を考えているためである。そのうまくいって当たり前という前提とうまくいかないという現実のギャップが私達の心に苦しいと感じさせるのである。例えば、あなたは車を運転していて自分がスムーズに進める事は当たり前だと思っているから、突然横から車がはみ出してきたり、前の車が急に減速したりすると、無性に腹が立ってイライラしてクラクションを鳴らすのである。そこで私達はこの態度をぜひ改めよう。最初からすべて整えられているはずはないのである。むしろ世の中はいろんな人々が好き勝手に考えたり動いたりしているのであり、そこには整理されているなどとは程遠い、無茶苦茶な状態、ごちゃまぜの状態と言えよう。すなわち心のあり方を全面的に改めるのである。それはうまくいかなくて当たり前だと常に思う事である。そう、世の中うまくいかなくて当たり前だと認めれば、たとえ車が急に飛び出してきてもそれはしょうがない事だと割り切れるのであり、そこに精神的ストレスは起こらない。もしうまくいっても、本来ならうまくいかなくて当然なのに、うまくいった事を当たり前だと思わず、むしろラッキーだと思って感謝の念さえ生じるのである。すなわち物事は常に自分に都合よくできている自分中心的価値観を捨てるのである。すなわち古代の地球を中心に太陽や惑星は回っているという天動説ではなく、地球が太陽の周りを回っているという地動説に頭を切り替えるのである。このように自分達が中心であるという中世のキリスト教の思考を捨てて、むしろ世の中の事情に自分の方から動かねばならないというコペルニクス転回に発送を変えるのである。この生き方の姿勢こそが最大の利得なのである。

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