今日の格言
一神教と多神教の違い
一神教とは何か。それは書いての通り、一人の神だけを崇拝する事である。ここで一神教の長所を見てみよう。古代イスラム教国において、イスラム教の預言者ムハンマドが生まれた時代、ムハンマドの父や祖父の社会は多神教であった。そこには数々の神々が存在していた。人々は皆自分達に都合の良い神々を作り出しては、過度の酔酒や淫行や姦淫をいろんな神々を崇拝しながら乱痴気騒ぎに耽っていた。当然人間達の間にも自分を神格化し、神と名乗る者も大勢現れ、この地上での富を独占するために多くの争いが生じ、社会は秩序の無い無法地帯と化し、平和もなく、社会は荒れ廃れ、堕落の一方を辿っていた。これを嘆いていたムハンマドはある日突然、天からの啓示を受け、一神教を授かったのであった。もともと人間とは放っておくと皆好き勝手にやり出し、そこここで争いを生み出す厄介な生き物なのである。そこにはやはり1本筋の通った倫理的規範が必要なのである。その役目を果たし、人間をまとめるには一神教は都合が良かったのである。例えば現在の中国にしても共産党が中国人13億人を一頭独裁しているけれども、これは決して誤った事では無く、もし共産党が一頭独裁して人民を統制しなければ、人々は13億人もいるのだから、皆好き勝手にやりたい放題になり、乱世の世に戻ってしまう事を中国4000年の歴史が証明しているのである。また現在のイランも昔のフセイン大統領が、一頭独裁していた頃はフセインという人物が神の代わりをして強制的ではあるが、人々を統制して分裂を防いでいた。しかしアメリカの介入による湾岸戦争によってフセイン大統領が殺害されると、現在のイラン情勢のように、隣のイラクやイスラム国(IS)が台頭してきてイラン国内を再び内戦に追いやっている。このようにただ一人の唯一神だけを崇拝し、残りの神々の存在を認めない考え方は、分裂しやすい人間をまとめるのには非常に有効な手段なのである。しかしここで一神教の短所を見てみよう。それは多神教の長所でもあるが、私はクリスチャンであり、一神教のキリスト教である唯一の神エホバを信じているのだが、もし、この唯一の神エホバを唯一神では無く、多くの神々の中の最高神として位置付ければ、他の神々はその存在を否定されることなく、最高神と共存出来る事になる。すなわち一頭独裁の言論の自由を奪われた閉鎖的な世界では無く、いろんな価値観がごちゃまぜに融合した言論の自由のある、多様性社会を生み出す。よってそこにはすべてを寛容に受け止める緩い支配が存在し、平和をもたらすのである。しかし、寛容さも度が過ぎて、なんでもかんでも許容する社会になると、最初に述べたように誰も責任を取らない無秩序で荒廃した乱痴気騒ぎ社会が到来し、世界は腐敗し、退廃し、堕落していくのである。よって一神教とは政治で言えば、一頭独裁体制の事であり、多神教とは政治で言えば、民主主義体制の事なのである。一頭独裁は人民をまとめるには都合が良いが、自分の価値観なり思想以外の考え方を一切受け入れない事においては、他の人や他の国と意見が分かれるから、互いの間にひずみが生じ、争いが生じる。すなわち一神教は自分達以外の神々を認めないから、自分達以外の神を崇拝する国々は敵として映る。よって一神教は他国間との戦争を生みやすいのである。現体制で言えば、北朝鮮であり、中国である。北朝鮮人や中国人にとって神の代わりを果たしているのは金正恩であり、習近平なのである。しかし多神教である民主主義はともかく衆愚政治に陥りがちであり、リーダーの不在となり、貧富の差は拡大し、国民をまとめる人材がいないため、社会的混乱を招くのである。例えば今の香港の問題にしても、香港の人達は言論の自由を求めて民主主義を求める、すなわち多神教を信じているのだが、一方中国という一神教である一頭独裁国家が香港だけに特別に自治権を与えるとすると、今度は力で抑えつけられている13億人もいる本土の中国人達が、なんで香港だけ特別扱いするのか、と不満を言い始め、ついには中国共産党の一番恐れる中国国内の分裂にまで発展してしまうのである。であるから、中国としても、香港だけを特別扱いするわけにはいかないのである。このように全世界には一神教という独裁体制である厳しい支配体制もあれば、多神教という民主主義である緩い支配体制もあるという事である。この例の典型的事例は今の北朝鮮という一神教社会と、今の韓国である多神教社会に如実に現れている。ひと昔前までは、北朝鮮の社会体制は脆いと言われてきたが、最近は韓国の社会体制の方が脆くなってきている。すなわち、北朝鮮には金正恩というはっきりとした支配者がいるが、韓国にはカリスマ的な指導者がいないため、社会は混迷の度合いを深めている。そう、昔ブッシュ大統領に悪の枢軸と呼ばれた北朝鮮の社会の方が安定してきているのである。この立場の逆転現象は、実は世界中の民主主義の国で見られる。すなわち、資本主義と民主主義の短所が最近頭をもたげてきたのであり、逆に共産主義と独裁主義の長所が最近効果が出始めてきたのである。どちらの支配の仕方が正しいのかは私にはわからないが、ただひとつだけ言える事は、民主主義の良い部分と独裁体制の良い部分だけを同時に抽出した(混合した)ハイブリッド支配体制、すなわち酸性でもアルカリ性でもない、もしくは酸性の性質とアルカリの性質を同時に合わせ持つ中性的社会が一番人類の大群衆を統治するのに適正であり、理想であると思われる。