高田義裕の人生論

今日の格言

燃え尽き症候群(バーニングシンドローム)  人はなぜ燃え尽きてしまうのか。

果物の種は初めはどれも茶色くて小さい。よって種の段階では何の種なのか分からない。人も幼い時、みんな幼児なので、誰が将来、何者になるのか分からない。幼い私達はよく親と一緒にアニメーションや映画を観て育ったものだ。映画やアニメーションを作ってお金儲けする大人達は、いかにすれば、多くの子供達が夢中になれるアニメーションや映画を作るべきか苦心する。そう、日常の普通の生活で普通の人を描いてもそれは何も面白くない。それで彼らは日常的には全くあり得ない状況を作り出す。すなわち、ファンタジーである。物凄く強い超人的な悪役を設定する。それに対抗できるのは、これまた現実には決して存在しない超人的なヒーローやヒロインである。それらの超人的な戦いを描いて観客を楽しませる。大人はそれを見ても、それはあくまでもフィクションの世界であり、現実的では無い事を承知しているから、冷静に見ていられる。しかし、これから何者になれるか分からない、将来が見えていない幼児にとってそれは現実的なものとして脳にインプットされる。すなわち、私もあのようなヒーローやヒロインになりたいと思うのである。人間にとって幼少期の体験はその人が大人になるために強烈なインパクトを与える。人は小さい頃からアニメーションや映画を見続けて、現実と虚構との区別を曖昧なまま、成長するのである。すなわち、自分は将来、映画スターのような人物もしくは重要人物にならなければならないと思い込むのである。テレビの宣伝でも美しいモデルが華やかに笑って手を振っている。私達はそれを見続ける事で知らず知らずのうちに私もあの美しいモデルのようになりたいと思い始めるのである。すなわち子供にとって、非現実なファンタジーはいつの間にか、自分の心の中でスタンダードな位置を占めるようになる。よってこの心が洗脳されていくと、ひどい場合は、自分は立派な人物に必ずなれる、もしくは、ならなければならないと無意識のうちに自分の価値観を自らが作っていくのである。例えばあなたがレモンであったなら、レモンであるあなたはスイカを見て、自分はスイカになりたいと思う。スイカは甘いし、大きいので魅力的に映る。しかし、どれだけスイカになろうと頑張っても、あなたはスイカになれない。なぜならあなたはレモンだからである。これと同様にファンタジーを見て育った人間は自分の理想像を描く。そして自分が好きなヒーローやヒロインのような仕事に就きたいと思うのである。しかしレモンはどれだけスイカが好きでも、スイカにはなれない。あなたも自分のしたい理想の職場をイメージして就職する。しかし、現実は全く違った。何もかもが自分が抱いていたイメージを壊すものであった。あなたはそれでも自分は何か重要な役割を果たす人間になれると信じて、必死に努力する。しかし、現実は頑張れば頑張るほど、理想とは遠ざかっていく。それで人は自分の精神の屋台骨であった理想と現実の乖離に甚だ落胆し、燃え尽きていくのである。すなわち私達のすべき事は、自分はまずスイカではなく、レモンである事を自覚する必要がある。すなわち、等身大の自分を見つめ、理想を排し、自分は何か重要な人物になれるという曖昧模糊とした漠然とした精神と戦いをせねばならない。すなわち現実に立ち返るという事である。そうすれば、自分はレモンなのだから、スイカのように甘くもないし、大きくもない事を発見する。すなわち、自分が好きな人物になれるという欲望を捨てるのである。そう、自分は何も重要な人物でも無く、単なる普通の人であれば、それでいいのだ、と自分に言い聞かせて、納得する必要がある。それで、レモンにはレモンの良さがある事に気付く。私を食べる人はスイカのような甘さは得られないけれど、この爽やかな酸っぱさを利用してパンチの効いたレモンソーダになれば良いのだと。スイカが好きな人もいるが、レモンを好きな人もいるのである。誰も彼もヒーローやヒロインのようになる必要は全くないのである。自分はおとなしい性格だから、銀行の事務員の方が自分らしさを発揮できるなどと、もっと現実的に視野を広げていく必要がある。すなわち、人が燃え尽きてしまう原因は、理想を高く持ち過ぎる事であり、自分の好きな事で食べていこうと安易に考える事なのである。好きな事が自分に向いているとは限らないのである。もし、なんなら、実際にあなたが好きで憧れている映画スターやアイドルに尋ねて見るがよい。あなたは自分がヒーローやヒロインになれると思ってなれたのですかと。彼らは必ずこう言うであろう。確かに私達は努力もしましたが、今の立場に立てたのは全くの偶然(幸運)です、と。そう、ヒーローやヒロインになる事は物凄く非現実的な事であり、それは宝くじに当たるよりまれな事なのである。私達は小さい頃からアニメーションや映画を見過ぎて、非常に特殊な事をスタンダードに見過ぎてしまっているのである。そう、私達は日々、お金を儲けようとする貪欲な大人達のいいカモになって洗脳されていたのである。

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