今日の箴言
神と悪魔の対話
[神] あなたは常に向上心を持ち、常に上を目指して努力して行きなさい。なぜなら下には、無限に下があるからであり、上には、無限に上があるからである。
[悪魔] 神よ、あなたは何を基準にして上か下かを決めるのか。あなたの言う通り、上に行くにはキリがなく、下に行くにもキリが無い。であるならば、どれだけ上を目指しても、これが上であると言う事は出来ず、下に落ちるにしてもこれが下であると言う事も出来ない。よって、人が上に行こうが下に行こうがそれは同じ事を意味する。よって人よ、あなたは上に進む努力をし無くても良い。ただ、毎日を欲望のままに、堕落して生きなさい。
[解説 ] 確かに上にはキリが無く、下にもキリが無い。よって一見、努力するだけ無駄な様に感じ、毎日を楽に生きて、遊びほうける方が良いと思うかもしれない。しかし、この、何が上で、何が下かと言う基準は無い、と悪魔は言っているが、それはあくまでも、一般論の場合を言うのである。確かに、真理の立場に立って言えば、何が上で何が下かと言う事を決定できる基準はどこにも無い。しかし、何が上で、何が下かと言う絶対的基準は存在する。それはあなた自身である。もし、あなたが昨日よりも今日努力すれば、昨日よりもあなたは上に行った事になるのである。また逆に、あなたが昨日よりも今日努力しなかったら、昨日よりも今日あなたは下に落ちた事になるのである。この様にして、神は、他の誰にでも無く、まさにあなた自身の事を基準にして向上心を持ちなさいと言われたのである。よって、人間にとって判断の基準の正しさは、常に真理の中にある訳で無いと言うことである。人は真理こそ正しい、真理とは何かを求めがちだが、この場合は、真理を基準に判断してはいけない場合であり、この場合に限って、自分自身と言う者を尺度にして考えても良い場合なのである。しかし、何が正しくて、何が間違っているかと言う尺度については、私達は自分個人を基準にする事は出来ない。この場合は、一般論的、真理的に、判断をしなければならない事は言うまでも無い。