今日の箴言
経済論
この人類社会の経済情勢は、経済学者アダムスミスの言う、放っておけば自然と自動的に上手く成り立つ、神の見えざる手が存在するのであろうか。例えば、ある製品を作る工場があって、ある部品がベルトコンベアによって自動で運搬されているとする。真っ直ぐ進んでいる時は全く順調に進んでいたが、それがカーブのコーナーにさしかかるとする。大半の部品は順調にベルトコンベアの動く方向に進んでくれるが、1000回に1度の割合で何らかの原因で歪みが生じ、部品がベルトコンベアの流れから外れて角に引っかかってしまう事がある。この場合それをずっと放っておいても決して元には戻ってくれないので、作業員である人が手でその部品を取って、ベルトコンベアの正しい位置まで戻してやらなければならない。これと同様に世界の経済情勢も最初のうちは、放っておいても自動的に上手くいくかもしれないが、次第に何らかの原因で歪みが生じ、経済活動が上手くいかなくなるのである。この時はやはり、人為的に人が介入して上手く調整しなければ経済も上手く流れて行かないのである。単純な仕組みのベルトコンベアでさえ歪みを生じさせるのだから、それよりももっと複雑なネットワークで動いている世界経済は上手くいかなくなって当然なのである。要するに、初期の段階の経済の流れまでなら、市場経済の自動調節機構、すなわち、神の見えざる手は存在するが、ある程度にまで経済情勢が発達し、熟年期、高年期にさしかかると神の見えざる手はまるで効果が無くなってしまうのである。現在の私達の世界の経済情勢はまさにカーブのコーナー(高年期)にさしかかっており、誰か飛び抜けて頭の良い、信頼出来るリーダーが神業で操作しない限り、世界経済全体は正しい方向に決して戻ってはくれないのである。