高田義裕の人生論

今日の箴言

単に正しい事があくまでも、正しいとは、限らないこと。あくまでも、ある事柄が正しく作用した場合にこそ、初めてそれは正しい事なのである。例えば、あなたが、人を親切にする事は、正しい事だと認識しているとしよう。それで、早速それを実行しようと電車に乗った。電車の中は、非常に混んでいて、もう一つしか席は空いていなかった。あなたは、急いでそこに座ったのだが、次の駅から一人の老人が電車の中に入って来た。しかし、どの席も満員で、彼はどこにも座れなかった。しかし、老人はこれと言って困った顔をしていなかったのであるが、あなたは、ここぞとばかり、自分の席をその老人に譲ろうと席を立った。そして、その老人に席を譲る事を申し出ると、びっくりした事に、その老人はあなたに怒りを露わにして、こう言った。(若造よ。私をナメるな。私を年寄り扱いしよって。)と。そして足早にスタスタとその場を去って行った。あなたは、ここでショックを受ける。自分が親切に思ってしてあげた事が、逆にお節介になってしまったからである。あなたはここで、単に親切にしようと自分の方から勝手に決め付けて、親切にしようとしても、それは、正しくない事を悟った。何事も相手がして欲しい事を注意深く見極めてから、行動に移さねばならないことを。この様にして、老人が怒りを自分に露わにした事が、逆に、自分の過ちを正してくれた事によって、それは、あなたに対して正しく作用したと言えるのである。

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