高田義裕の人生論

今日の箴言

愛には大きく分けて3種類ある。1つはフィリア(友情愛)、2つ目はエロス(異性愛)、そして3つ目はアガペー(隣人愛)である。この中で最も優れている愛とはどれであろう。ある人がいた。彼には自分の分身とも言える親しい友人がいた。彼らは非常に仲が良かったが、ある時、片方の側に異性の恋人ができた。その人は次第に異性の恋人と深い仲になり、かつて互いに親友同士であった友達との関係が疎遠になって行った。ここでは、フィリア愛よりもエロス愛の方が勝っていたのである。また別のところで、既に結婚している女性が職場で運命的とも言える男性と出逢った。結婚した後に自分の理想とする相手が現れたのである。彼女は家庭を捨ててまでその男性と一緒になった。そして2人は何十年も仲睦まじく暮らしていたのだが、ある時、相手の男性は高齢ゆえにアルツハイマーになった。その女性は献身的に男性の面倒を見ていたのだが、あまりにも酷い彼の病状と介護疲れのゆえに相手の男性の首を絞めて殺した。そして彼女は殺人罪として刑務所送りになり、年老いて死んだ。しかし、また別の場所で、母親と1人の息子のやもめがいた。母親は結婚していたのだが、相手の父親が不倫し、別の女性の所に行ってしまって、1人の息子だけが残った。彼女はひとり親の身で苦労して子供を育てた。そして彼女の苦労する背中を見てその男の子は育った。その後、やもめである母親の方が、アルツハイマーにかかった。しかし、彼女の息子は献身的に母親の看病をし続けた。あまりにも酷い彼女の病状と介護疲れのゆえに母親を殺してしまいたい、という衝動が幾度も彼に襲いかかったが、その息子は母親が苦労して献身的に一生懸命に自分の事を育ててくれた背中を見て育ったので、その衝動に打ち勝ち、彼女が安らかに死ぬまで面倒を見る事が出来た。どうであろう、ここにおいてはエロス愛よりも息子の母親に対するアガペ愛の方が勝っていたのである。これらの事が試された結果、人間にとって、アガペ愛(隣人愛)が一番優れた愛である事が分かったのである。よって、アガペ愛、すなわち、自己犠牲的愛は、すべての事に勝り、人と人との永遠の絆であり、その愛こそがフィリア愛やエロス愛を包含するものであるという事である。

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