高田義裕の人生論

今日の格言

時間論

あなたは刺繍をしているとする。そう、あなたは初めてセーターを編んでいる。最初はなかなかうまくいかず、一つ編み上げるのに一週間かかった。そして何回も何十回も何百回も何千回も編んでいくうち、あなたは腕を上げて、一つのセーターを編むのに2時間で仕上げられるようになった。そう、あなたは同じ作業を膨大にやる事で、その作業に次第に慣れ、最初より物凄く速く編めるようになったのである。それではあなたは最終的にどれだけの速さでその作業を終えられるようになるか。すなわち、どんなに頑張っても、1時間30分はどうしてもかかるという限界に達した。すなわち、セーター1つを編むのにかかる最速の時間は1時間30分であるというわけである。ではあなたにとってセーター1つを編む最速の時間は絶対的時間か。すなわち、1時間30分は一番速い絶対的時間か、という事である。それでは視点を変えて、逆を考えてみよう。セーター1つを編むのに、どんなにゆっくりやろうとも最も編むのに遅くかかる時間はどれだけか。これに絶対的時間はあるだろうか。それは無い。なぜならどれだけでもゆっくりやろうとも、いくらでも時間はかけれるからである。例えば、1ヶ月かけて完成させる事もできるし、一年かけて完成させる事もできる。これに絶対的時間は無い。いや、むしろ速いとか、遅いとかという概念自体が何を以って絶対的であると言えるのか。例えば、Aさんはあなたよりも1つのセーターを編むのに3時間かかる、というのであれば、Aさんはあなたよりも1時間遅いと言えるのである。逆にあなたはAさんよりも1時間速いと言えるのである。すなわち速いとか、遅いとかという概念は何かと何かを比べて初めて成立する概念なのであり、それは絶対的概念ではなく、あくまでも、相対的概念なのである。こう考えると、あなたが1つのセーターを編むのにかかる最速の時間である1時間30分は絶対的時間ではない事になる。そう、時間に絶対値はないのである。絶対値とは、例えば、遅いをマイナスとし、速いをプラスとすれば、-5と+5の絶対値は5という事になる。よって、もし、時間に絶対値があるとするなら、絶対値が存在する条件は、最も遅い時間と、最も速い時間の数字が一致しなければならない。そんな事は決してないから、結論として、あなたがこれからもずっとセーターを編み上げていくなら、これが一番速いという絶対的時間は無いわけだから、あなたはいずれは1秒間でも0.0001秒間でも1つのセーターを編む事が出来る。これは理屈(理論)で言えば、あなたの1つのセーターを編むのにかかる最速の時間に制限は無いという事である。そう、究極的には、あなたは一瞬でセーターを編む事も出来る事を示唆している。これを宇宙を旅する宇宙船に例えれば、宇宙船で宇宙の果てまで最初は1000億光年かかろうとも、宇宙の果てまで往復する事を何回も何十回も何百回も何千回も無限に繰り返すうち、宇宙船が宇宙の果てまで往復する事に次第に慣れて、究極的には一瞬で宇宙の果てまで往復する事が出来る事を意味するのである。

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