高田義裕の人生論

今日の格言

最大値のジレンマ

さて、新型コロナウイルスの蔓延によって、人々は外に出れなくなり、商売している人達はさっぱり客が来なくなって、売り上げが半分以下に落ちた。それで人々は皆、手持ちの現金が少なくなってきた。それで人々は昔に買っておいたロレックスの時計や金を質屋に持って行って、現金に換金するのに殺到した。すると、世の中にロレックスの時計や金がたくさん出回りだし、供給過剰に陥った。すなわち値崩れが起きたのである。希少価値のあったロレックスの時計は価格が大幅に下落し、金の値段も大幅に落ちた。それでもし、新型コロナウイルスの蔓延がこの先長く続くようなら、経済危機により、世界規模で戦争が起こる可能性も出てきた。それで投資家達はもし戦争になった場合、生き残る国はどこか考えた。それはロシアや中国では無く、やっぱりダントツで軍事力のあるアメリカであると判断した。それで投資家達は皆、ドルを買い始めた。それでドルの価格は急上昇したのである。それで皆、できるだけ売れるものは何でも売って、現金化する必要が出てきた。当然、人々は自分の売れるものはできるだけ高く売りたい。すなわち最大限の利益を得たいと考える。すなわち手元に入る現金価格を最大値にしたいのである。しかし、あるAさんはお金がないので、車で出かけるとすると、ガソリン代がかかってしまうため、自分の家から一番近い質屋へ歩いて出かけた。そしてそこでロレックスの時計や 金を売った。すると、質屋はそれらを合計30万円で買い取った。しかし、また別のBさんがいた。彼は何とか自分の持っている持ち物を一番高く買い取ってくれる質屋さんに売りたかった。それで車であちこちいろいろ回って、いろんな質屋に出かけて値段を比べた。そしてようやく日の暮れるころ、一番高く買ってくれる質屋さんを見つけた。そこでBさんは同じくロレックスの時計と金を売った。その一番高く買ってくれる質屋はそれらを合計31万円で買い取った。それでBさんは非常に満足して、得した気分になった。しかし、ここで考えてみよう。Bさんは確かに自分の持ち物を一番高く売れたが、すなわち最大値を得たが、その最大値に近づくために、最初に出てきたAさんよりも車であちこち出かけたゆえに時間も浪費したし、そのために前から約束してあった用事もキャンセルしていたのである。そして当然、その分の車のガソリン代も高くついた。そうすると、たとえ最大値に達していたとしても、その最大値に近づくために必然的に多くの手間と費用がかかってしまうという事である。よって、時間1時間あたり、900円の賃金と換算し、ガソリン代も1ℓ=130円とすると、Bさんは一番高く買ってくれる質屋を見つけるまでに8時間を要し、ガソリンも25ℓ消費した。それでかかった経費を計算すると、900円×8時間=7200円、そして1ℓ=130×25=3250円の合わせて、10450円かかった事になる。それで、最大値である31万円から10450円を引くと、29万9550円しか儲けられなかった事になる。何と最大値を追い求めなかった、たいした労力もせず、近場で売ったAさんの方が儲かってしまったのである。この様に最高値を求めようすると、その最高値に達するための必要経費も高くついてしまい、結局は最低値、すなわち最小値に陥ってしまうのである。これは原理的に決まってしまうものであり、この事を(最大値のジレンマ)と言う。

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